エンターテインメントの未来:スポーツベッティングによるゲームの変化

2008年当時、日本ではサッカーの試合観戦が大流行していました。野球も、親子が一緒にソファに座って観戦していました。バスケットボールの試合も最初の3クォーターが面白かったのを覚えています。まだ意図的なゲーム妨害が問題になっていなかった時代です。スポーツ観戦の仕方が大きく変わった今では、あの頃が遠い昔のように感じられます。

2018年にPAPSA(スポーツ賭博を禁じる連邦法)が廃止となり、連邦政府によるスポーツベッティングの禁止が解除されました。これが、スポーツをダメにした最後のとどめとなりました。

1980年代はじめには新たなスポーツファンが増え、2009年には革新的なNFLの「レッドゾーンチャンネル」も登場し、スポーツ観戦の仕方は一新されました。そしてこれらの変化を終息させたのが、スポーツベッティングの合法化です。20以上の州が何らかの形でスポーツベッティングを承認し、ほぼ全てのメディアがスポーツベッティング業界と何らかの契約を結んだことで、スポーツの取り上げ方や放映方法は変更を余儀なくされました。

スポーツの世界からは、これまで培われてきたスペクタクルが消滅しつつあります。例えば野球チームは、打者が一巡しないよう新戦略をとるようになり、先発ピッチャーは華々しい成果を上げにくくなりました。皮肉なことに、レイズのケビン・キャッシュ監督もこのような新戦略をとり、圧倒的な投球力をもつブレイク・スネルを途中で降板させたせいで、ワールドシリーズの勝敗を決める重要なゲームだった第6戦の視聴者はわずか1320万人でした。

今年は、スポーツ中継の視聴率低下が大きな話題となっています。NBAファイナルでも視聴率が51%低下しました。しかし、これはスポーツへの関心が低下したのではなく、進化したのです。スポーツベッティングが発達したことにより、視聴者は試合のハイライトや一部だけを見て、自分にとって重要な部分だけを知るようになりました。視聴者が知りたいのは、レブロン・ジェームズが何点取るか、最初のタッチダウンをするのは誰か、各チームは全体で何点取るか、といった内容です。視聴率は、各個人の相互作用による全体像を伝えるものではありません。視聴率が低下した理由を明確に説明できる統計はありませんが、スポーツへの関心のあり方が変化したことが理由のひとつであることは間違いありません。

メディアは、ゲームのある側面にだけ興味を示す新しいファン層へのサポートも、既に始めています。例えばESPNは、賞金目的の視聴者が多く、歴史も浅いXFL(アメリカンフットボールのプロリーグ)の放送時に、スコアバグ、ポイントスプレッド、オーバー&アンダーなども表示しています。ファンの視聴を増やすため、ゲーム前のラインだけでなく、最新ライブオッズをファンに告知することにしたのです。